大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)2793 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人B、弁護人川添清吉上告趣意について。

しかし、強盗の共謀をした者は、たとい、暴行、脅迫、強取等の実行行為をしな

いでも共謀者のした強盗傷人の犯罪行為については、共同正犯としての罪責を免れ

えないものであるから、共謀者の犯行については一々その分担行為を判示する必要

がないことは当裁判所大法廷の判例(昭和二二年(れ)二四七号同二三年一一月一

〇日判決)とするところである。しかのみならず所論の判示をその対応する証拠に

照すときは被告人は被害者C方の便所の横で見張をしていたものであることを窺知

することができる。されば原判決の所論判示は被告人が他の五名の者と共謀の上判

示強盗傷人の犯行を為した事実の判示として何等欠くる所はないといわねばならぬ。

論旨はそれ故理由がない。

被告人D、弁護人宇佐美幹雄、同山口周吉上告趣意について。

被告人及び原審相被告人Aが逮捕され更に勾留状によつて身体の自由を拘束され

てから、所論検事の聴取書が作成されるに至る迄に八〇余日を経過していることは

所論の通りである。しかし記録によれば被告人等両人は逮捕されて十余日後におけ

る司法警察官の取調に対して犯罪事実を自供しているのであつて、所論検事の聴取

書の両名の自白は右司法警察官に対する自供を単に繰り返したのにとどまり、本件

事案は大阪府と香川県とに亘つて行われた犯罪にかかるもので、その犯行数も強盗

傷人一件、強盗二件、同予備一件、窃盗三四件、銃砲不法所持一件の多種、多数に

上り、しかも犯人は被告人の他に共犯者五名を数え、各犯行は二名乃至六名が各共

謀し、昭和二二年九月一六日頃から翌年三月一日頃迄の間に敢行されたものである

から、本案件の捜査に所論の期間程度の日子が必要であつたことはたやすく肯定さ

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れるところである。されば、所論の被告人等の検事に対する自白をもつて、所論の

ように不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白であるということはできないか

ら、(昭和二二年(れ)第三〇号同二三年二月六日大法廷判決、判例集二巻二号一

七頁参照)原審が所論被告人等の自白を証拠としたからといつて原判決には所論の

違法は存しない。又証拠の取捨は法令の範囲内において、事実審たる原裁判所の裁

量に属することがらであるから、原審が被告人に有利な所論Eに対する司法警察官

の訊問調書を証拠に採用しなかつたからといつて原判決には違法のかどは存しない。

なお原判決は本件強盗傷人罪の構成要件の一部たる所論共同謀議の点のみを所論被

告人等の検事に対する自白で認定したのであつて、かゝる犯罪事実の一部を被告人

の自白のみて認定しても違法でないことは当裁判所の判例の趣旨とするところであ

る(昭和二三年(れ)九四七号同年一〇月二一日第一小法廷判決、判例集二巻一三

六六頁参照)されば、原判決には所論のような法律上証拠となしえない証拠によつ

て事実を認定した違法は存しない。論旨はそれ故理由がない。

被告人B、弁護人宇佐美幹雄、同山口周吉上告趣意について。

原審が被告人の弁護人からした、証人としてEの喚問申請を却下したことは所論

のとおりであるが、法令の範囲内で証拠調をする限度は事実審たる原裁判所の裁量

に属することがらであるから、原審のした所論証人申請の却下に対する非難は上告

適法の理由とならぬ。そしてその余の論旨は結局弁護人等の被告人Dの為にする上

告趣意と同旨に帰するから、これに対しては重ねて説明しない。

よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 竹原精太郎関与

昭和二五年二月二日

最高裁判所第一小法廷

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裁判長裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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